開発者が語る「一太郎の新ユーザーインターフェース」のヒミツ(全2回)一太郎2011 創

ユーザーインターフェースを全面的に見直した「一太郎2011 創」。なぜここまで大きく変えたのか、その理由を開発担当者が自らお話しします。
「一太郎2011 創」開発責任者 豊田光樹

第2回

ツールパレット(オリジナルタイプ画面専用)

ツールパレットは「一太郎2011 創」オリジナルタイプ画面最大の特徴です。これは、よく使われる機能や便利な機能をすぐに呼び出せるよう配置した「道具箱」です。そして、何をしているか、何をしたいか、によって必要な道具(パレット)が自動的に選択されるようになっています。


▲よく使われる機能や便利な機能を配置した「ツールパレット」

ツールパレット開発の背景

従来の一太郎では、マウスを使ってコマンドを簡単に呼び出す方法として「ツールボックス」が使われていました。ツールボックスは、広く普及しているUIであり、便利なのですが、大きな問題が2つありました。

1.ボタンの数が増えると目的のコマンドが見つけにくくなる。
小さなボタンで埋め尽くされたツールボックスから目的のコマンドを探すのは大変です。何十個ものボタンが並んでいても使うのは数個で、大部分はメニューなど別の手段で実行しているのではないでしょうか?

2.ボタンやコンボボックスなど単純な機能、小さいパーツしか配置できない。
例えば、「画像を挿入する」という操作は、1)画像を選ぶ、2)枠基準やマージンなどの属性を指定する、3)文書に挿入する、という3つのステップから成り立っていますが、これをツールバーだけで実現することは不可能であり、どうしても「画像の挿入ダイアログ」を表示する必要がありました。
これらの問題を解決するために、「文書作成の機能を集約する」場所として、従来ナレッジウィンドウだったスペースを見直すことにしました。

このスペースを使えば、ツールボックスよりも多くのコマンドを配置できます。機能や利用目的毎に分類して整理することもできます。さらに、従来、ダイアログを開かなければ実現できなかったような複雑な機能や大きなパーツを配置することもできます。
私たちは、この新しい操作パネルを「ツールパレット」と名付けました。このツールパレットは、メニューの良さ(系統的に整理されている)と、ツールボックスの良さ(一覧性がよくワンクリックで実行できる)を併せ持つユーザーインターフェースです。

ツールパレットの切り替え

一太郎の編集状態には、いくつかのモードがあります。主なモードは、通常の文書編集を行う「文字入力モード」、表枠を作成するための「罫線モード」、そして、図形を描画するための「作図モード」ですが、そのほかにも、画像枠やレイアウト枠を選択して、枠のサイズや位置を指定する「枠選択モード」など、補助的なモードもあります。
さらに、「文字入力モード」では従来からある「アウトライン」「基本編集」「提出確認」など5つのフェーズが利用できます。


▲モード表示切り替えボタンでモードを変更できる

文字入力モード
罫線モード
作図モード

一太郎では、目的やシーンに応じてモードとフェーズを使い分けながら文書を作成していきますので、それと連動して道具(パレット)が自動的に切り替わるのは非常に合理的だと考えています。

文字入力モードのツールパレット

文字入力モードでよく使うコマンド、便利なコマンドを、「文字飾り」、「調整」、「挿入」、「スタイルセット」、「段落スタイル」、「文書編集」、「罫線セル属性」、「校正」、「スタンプ」、「アウトライン」という9つのパレットに分類して配置しました。
また、よく使うコマンドは、フェーズによっても異なりますので、コマンドバー同様、フェーズごとに切り替わります。


▲フェーズごとにパレットの内容が自動的に切り替わる

罫線ツールパレット

一太郎の罫線は、その表現力や自由度、そして操作性などにおいて定評がある機能の一つです。「罫線ツールパレット」には、罫線モードで使用されるコマンドや設定のほとんどが網羅されています。
従来は、線種選択用のダイアログを開いてから、操作する必要がありましたが、「一太郎2011創」では、線種や色の選択、一旦引いた罫線の変更などもパレットから視覚的に確認しながら操作できるようになりましたので、罫線の利便性がさらに向上します。


▲ダイアログを開かずに線種設定が可能

作図ツールパレット

作図機能を使って図を描こうとすると、図形や線種、色や線の太さなどを頻繁に切替ながら作業することになりますが、従来のメニューとツールバーだけでは、かなり手間のかかる操作になっていました。今回搭載したツールパレットを使えば、描画に必要なツールを常に表示しておけるので、ドローソフトのような感覚で、目的の図形を効率よく描画できるようになります。


▲描画に必要なツールを常に表示できる「作図ツールパレット」

ツールパレットのカスタマイズ

ツールパレットはより快適にお使いいただけるよう、好みや環境に合わせてカスタマイズすることができます。ツールパレットの右上にあるボタンをクリックし、メニューから「オプション」を選ぶと、次のオプションダイアログが開きます。

ツールパレットを左側に配置したり、パレットの表示順変更や、パレットの結合なども行えます。また、並び順の変更や結合/結合解除は、マウスによるドラッグ&ドロップによっても実行できます。


  • ▲パレットを結合(2列に並べる)ことでスペースを有効活用

  • ▲ドラッグ&ドロップでパレットの表示順を変更

最後に

2回にわたって、「一太郎2011 創」の新しいユーザーインターフェースについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
・使いやすいワープロに求められるUI(ユーザーインターフェース)とは何か?
・どうすれば、思考を中断しないで、文章を書くことに集中できるか?
「一太郎2011 創」では、これらの答えとなるユーザーインターフェースを実現することができたと考えています。
また、インターフェースの設計だけでなく、配色やアイコンの見た目にも徹底的にこだわりました。使いやすさ、わかりやすさはもちろんですが、フェーズ切り替え時のアニメーション効果のように「楽しさ・気持ちよさ」を感じる要素も加えています。
一太郎第二章にふさわしい進化を遂げた「一太郎2011 創」。
私たちは多くの皆さまに使っていただき、その進化を実感していただきたいと考えています。

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